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学んでいるコト。考えているコト。

book 2012年前期から天外塾で「フロー経営」について学んでいます。

011


天外レポートNo75201310.24)より。

 

1.ソニー凋落の要因

 

 もう、人々の記憶からは薄れつつあるが、2003年の4月に

ソニーの業績が急落し、それにつられて日本中の株が暴落した事がある。

「ソニーショック」と呼ばれた。

ソニーの内部では、その2年ほど前よりうつ病が激増し、

惨憺たる状況になっていた。

 

 1964年に入社して以来、エンジニアたちが目を輝かせて

無我夢中で仕事に取り組む職場しか知らず、それが当たり前だと

思っていたので、酷い状況にただ驚くばかりだった。

何が違ったのか必死に考え続けた結果、2年ほどして

ようやく要因を探り当てた。最初のヒントは、高橋伸夫東大教授が

書いた『虚妄の成果主義』(日系BP社)という本だ。

さらに調べると、チクセントミハイという心理学者の「フロー理論」で

すべてが読み解ける事がわかった。

 

 ソニーは創業以来、私が後に名づけた「フロー経営」を実行して

きたのだが、1995年にトップが替わり、ジャック・ウエルチを追っかけて

全面的にアメリカ流の「合理主義経営」を導入した。結果として、

それまでの「フロー経営」が徹底的に破壊されてしまったのだ。

私は、チクセントミハイの著作を片っ端から読み始めた。

 

2 チクセントミハイとの出会い

 

 ちょうどその頃、アメリカのTED(Technology,Entertainment,Design

コンフェランスに行かないか、と誘われた。

私は新しい研究所を設立準備中で忙しく、断り続けていたのだが、

ふとプログラムを見たら講演者の中にチクセントミハイの名前があった。

こういう偶然の一致を「共時性」という。

そのとき『運命の法則』(飛鳥新社)という本を執筆中だったが、

最初の章に「共時性を発見したら、それに乗っていけ!」

と書いたばかりだった。

 

 まずは、自分で実行しなければいけない。私は八方手を尽くして、

講演直前のチクセントミハイと昼食のアポを取った。

 

 彼の希望は天婦羅だった。

 カリフォルニア州モンタレー市は

海辺にあり、日本食屋も多く、天婦羅はおいしかった。

 

 2004228日のことだ。

 

 しばらく会話が弾んだ後、

私は次第においしい天婦羅が喉を通らなくなってきた。

 

 この昼食は、私に下心があり、

「フローに入ると運が良くなる」

ということを、何とかチクセントミハイの口からいわせたかったのだ。

ソニーの技術開発プロジェクトで、CD、NEWS(一時は市場を

席巻した専門家向けコンピュータ)、AIBO(犬型ロボット)などに

携わったが、明らかにチームが「フロー」に入り、毎回信じられない

ような好運に恵まれた話をした。

 

 私にとって「フロー」と好運が表裏一体になっている事は信念と

なっており、それを「フロー理論」の提唱者であるチクセントミハイが

同意してくれたら、執筆中の『運命の法則』のハイライトになるはずだった。

 

 ところが、押しても引いても彼はYESとはいってくれない。

「たしかにね、フローに入るとマインドがオープンになるからね。

運が良くなったように感じるかもしれないね」とはぐらかされてしまう。

しつこく迫っていくと、「私は学者だから合理的な範囲でしか

ものがいえないよ」、ついには「そんな事をいったら私の学者生命が

危うくなるよ」とまでいわれた。私は深くため息をついた。

 

 ああ、天婦羅代が無駄になったか・・・と思った矢先、彼は

「ここで講演の直前にあなたに会うことは、すごい共時性

(シンクロニシティー=意味ある偶然の一致)だ」といいだした。

 

 私は、あやうく文句を飲み込んだ。ついさっき合理的な

範囲でしかものがいえない、といったばかりじゃないか。

共時性という概念はまったく合理的ではない。

 

 彼がなぜ共時性といったかというと、

その日の午後の講演で、

最初のパワーポイントにソニーの設立趣意書を用意してきていたのだ。

 

 私は当時ソニーの上席常務であり、

講演の直前に私と会った事に

偶然以上の何かを感じたらしい。

 

 講演が始まると、「自由闊達にして愉快なる理想工場」という

設立趣意書の英語版がスクリーンに映し出された。

 

 これが「フロー」にはいるコツだよ、というのだ。

40年以上ソニーにいたので、何千回となく見てきた文章だが、

私はなぜか怒りがこみ上げてきた。

 

 バブルがはじけた後、ソニーや富士通など多くの企業で

米国流の「合理主義経営学」を導入して、日本の産業界は

凋落していった。

 

 その輸出元の米国で、米国人が米国人相手に、それと

正反対の「フロー経営」を説いており、

しかもそのお手本が創業期のソニーだというのだ。

 

 チクセントミハイ本人には悪気がないのはわかっていたが、

「合理主義経営学」から「フロー経営」への移行に関して、

私は米国に負けてなるものか、という戦慄に震えた。

 

帰国してすぐ事の顛末をレポートに書いて副社長以上に

配布した。当時相談役の大賀典男さんからは直々に電話があり、

「素晴しいレポートだ」とお褒めをいただいた。

だが、執行部からは完全に無視された。

 

それから10年になろうとしているが、ソニーはいっこうに

立ち直れそうもない。

 

 

3. 岡田武史監督との出会い

 

 そんないきさつがあったので、

拙著『運命の法則』の後半は

企業経営の話になってしまった。

 

 私の強い思いで、内容が途中で少し

方向が変わってしまったのだが、

それでもベストセラーになった。

 

 この本が日本合理化協会の目に留まり、

経営セミナーの開催を依頼された。

 

 かくして2005年から、

6回の「天外塾」を開催する事になった。

 

 その後、日本能率協会や神田昌典氏の(株)アルマック

(当時)主催でも天外塾が開催された。

 

 2007年アルマック主催の天外塾に、

横浜F.マリノスを退団し

浪人中の岡田武史監督が参加された。

 

 岡田さんは、その時点では

「管理型マネジメント」が得意な方で、

札幌でも横浜でも実績を上げてこられた。

 しかし、その限界を感じ

「フロー経営」を学びに来られたのだ。

 

 スポーツの世界では「フロー」の事を「ゾーン」と呼ぶ。

選手が練習以上の力を発揮して奇跡を呼ぶことはよく知られていた。

 

 しかしながら、その理論的背景、体系的な方法論はなかった。

 

 私は研究者出身のため、

物事を追求する事は得意であり、「フロー経営」を

単にチクセントミハイの「フロー理論」だけでなく、

脳科学、深層心理学、トランスパーソナル心理学などを駆使して

体系化していた。

 コーチングの元祖、ガルウェイの

「インナーワーク」も参考にしたが、

これは元をたどればテニスのコーチ法から出発しているので、

スポーツの方法論が企業経営に導入され、それが岡田さんを通じて

またスポーツに舞い戻った感じだ。

 

 私は引退前の数年間、

脳科学と人工知能を統合した学問

「インテリジェンス・ダイナミクス」を提唱して、

その名を冠した研究所の

所長を務め、脳科学を勉強していた。

 

 そのときに、人間の脳の中の

計算で、大脳新皮質における計算が遅すぎてキャッチボールも

バッティングも出来ないことを発見していた。

運動はすべて古い脳で実行されており、新皮質の干渉を排除

しなければうまくいかない。

同様に「フロー」も古い脳が活性化しないとは入れない。

 

 岡田監督は、そのような「フロー経営」の

原理をよく理解し、

練習法から工夫していき、2010年の南アW杯に見事に結実された。

直前までマスコミがひどく叩いていたので、多くの国民の感動に

つながった。当時私は岡田監督を指導したという事で、毎週のように

週刊誌に取り上げられ、天外塾の人気が一挙に高まった。

 

 W杯が終わった201010月から12月、

「岡田武史特別セミナー」

を開催していただいた。

「管理型マネジメント」から「フロー経営」への180度の転換。

 

 いかに大脳新皮質の干渉を排除して古い脳を活性化するか、

どういう練習をするか、どう発言するか、選手ごとに見せるビデオを

どう編集するか、様々な細かい工夫が実ってW杯成功につながる道のりは、

多くの経営者の感動を呼んだ。

 

4 簡単なようでなかなか出来ない

 

「フロー」というのは、

内側からこみ上げてくる内発的動機で

行動したときに入りやすくなる。

 逆に、お金、名誉、地位などを

求めて外発的動機が強いと入れない。

成果主義は外発的動機を

喚起するから、「フロー経営」を破壊する。

また、指示命令で動いていると

、内発的動機は抑圧されるから「フロー」には入れない。

 

 したがって、「フロー経営」というのは、

従業員を全面的に信頼し、

指示・命令をしないで自主性にまかせ、

ノルマや結果の評価をなくす

というオペレーションになる。

 

 私自身は、ソニーの創業者の井深大氏のすぐ近くで30余年を

過ごしたので、それが身に染み付いていた。

井深さんは「仕事の報酬は仕事だ」と常にいっていた。成果を挙げれば

もっと面白い仕事を任せてもらえ、どんどん成長できる、という喜びが

ソニーの活力の源だった。

それが1995年から成果主義を導入しておかしくなったのだ。

 

 自分自身もそういうマネジメントを実行してきたので、

これはごく簡単で誰にもすぐ出来る、と考えていた。

ところがそうはいかなかった。

下に任せたけどうまくいかなかったという塾生からは「ソニーさんの

ように優秀な社員がそろっているからこそできるんじゃない」といわれた。

 

 一方では、長年単なる専業主婦として過ごしてきた方が、

何も知らずにたまたまドトール店の経営をして四苦八苦していたのに、

「フロー経営」を実行したらたちまち業績が上がり、全国1400店の

ベスト5に入り表彰された、という事例も出てきた。従業員はアルバイト

ばかりで選別もしていない。

つまり従業員が優秀でなければ「フロー経営」が出来ない、

ということではなかった。私は、うまくいったケースと駄目なケースと、

何が違うか詳細に分析してみた。

 

 ひとつのヒントは、天外塾の塾生の間に自然発生的に

「コーチング被害者の会」が出来た事だ。

長年熱心にコーチングを学んできたのに、従業員との人間関係は

改善どころか、かえって悪くなったという人が結構いたのだ。

赤の他人だとうまくいくことが多いコーチングが、経営者と従業員の間では、

なぜか破綻するケースが目につく。

 

ひとつには、経営者と従業員の間には決定的な上下関係があることだ。

もうひとつは、経営者がどうしても従業員に対する「コントロール願望」を

捨てきれないためだ。

「コントロール願望」を秘めたままの積極的傾聴は、従業員から見れば

気持ち悪いだけだ。本音で接しないと人間関係は破壊される。

まったく同じように、「コントロール願望」を秘めたまま仕事を任せても、

誰も「フロー」には入れない。経営者側のマインドの問題が浮かび上がってきた。

 

 もうひとつのヒントは、後継者問題に悩んでおられる経営者に、

自らの親との葛藤を軽減する瞑想を指導すると、不思議な事に

自分の子どもとの問題が解消する事が多い、という発見だ。

親がはるか昔に亡くなっていても、これは有効だ。

同時に、経営者は一般の人に比べて葛藤が強い事も発見した。

 

 葛藤のエネルギーを上手に戦いのエネルギーに昇華しているのだ。

ドトール店で「フロー経営」を成功させた主婦は、経営者ではないので

葛藤が少なかったのが勝因だ。

 

 創業は特に強力なエネルギーが必要で、葛藤が強い人でないと

中々出来ない。セラピストの中には、創業という行為の中に病理的な側面を

見出し「創業者病」と呼ぶ人がいる。

世間では賞賛される創業を、一種の病気だとみなすのだ。

時に創業者が苦労して立ち上げた会社を追い出される事もあるが、

それも葛藤の強さが原因であり、創業者病のあらわれだ。

 

 そして「コントロール願望」は、葛藤から生まれる事もわかってきた。

つまり、通常の「管理型マネジメント」では、とても有効な葛藤のエネルギーが、

「フロー経営」では邪魔になるのだ。

 

 そういう気付きを経て、天外塾の内容は知識の伝達から、

塾生の葛藤の解消と意識の変容のお手伝いをする方向へ

大きく変容していった。

 

 そのほうが「フロー経営」に早く到達できるのだ。

その様子は、『問題解決のための瞑想法』(マキノ出版)に詳しく書いた。

幸にも医療者のトレーニングのために、伝説のセラピスト吉福伸逸氏

20134月逝去)のワークショップを6年間主催したので、

塾生の意識の変容をサポートする事が、ごく自然にできるようになっていた。

 

 横田英毅氏との出会い

 

 20104月開講の天外塾に、ネッツトヨタ南国の横田英毅さんが

突然一塾生として登場されたときには、少なからず驚いた。

それ以前に、あるコンサルタント会社のセミナーで講師同士として

お会いしており、2002年に日本経営品質賞を取られ、マスコミに

盛んに登場する産業界の寵児だったからだ。

2011年からは、講師としてお招きし、全3講の「横田英毅特別セミナー」

を年2回開催している。

 

 横田さんは「叱らない、教えない、やらせない」というポリシーで、

全面的に従業員の自主性に任せる典型的な「フロー経営」を実行しておられる。

 横田英毅経営学の真髄は、抽象的な「目的(理念)」をしっかりと設定して、それに向かって、たゆまなく、着々と歩み続け、長い年月をかけて「質」を追求する事だ。

 

 逆に、売り上げ、利益、規模などの数量化できる「目標(量)」を追ってしまうと、どうしても「質」が向上せず、

短期的には浮上するが、長い年月では結局「量」も

得られなくなる、と戒めておられる。

 

 世の中、ほとんどの経営学が「量」の追求を第一義に掲げているので、

これはとてもユニークだ。

 

また、物事の底に横たわる、目に見えない根本的な要因を探り当てて

「問題解決」に向かう事を指導しておられる。世の中ほとんどの指導者が、

目に見える表面的な現象を改善をする「問題対処」しか教えていないので、

これもユニークだ。

横田英毅経営学はとても奥が深く、簡単には理解できないが、

いい人財をいかにしたら採用できるか、あるいは組織の体質改善のための

無記名アンケートなど、すぐに実行できる具体的なノウハウも満載だ。

最近の天外塾では、4回にわたって無記名アンケートを実行している。

塾生は、従業員に対してアンケートを実施し、結果を整理して

何のコメントもいわずに壁に貼りだすだけだが、組織の生命力がみるみる

上がっていく。

 

 横田さんが、誰にも教わることなく、このようなユニークな経営を

実行できたのはなぜか、という事を詳しく追求した結果、幼少期に

熱心なキリスト教信者で創業者であるおじいちゃんに「無条件の受容」

を受けていたことを語ってくれた。

 

 また、多くの名経営者が重篤な病気を克服した体験がある。

たとえば、死病といわれた頃の結核を患った稲盛和夫さんや

伊那食品の塚越会長、末期癌から生還した沖縄教育出版の

川畑社長などだ。

これは、心理学では重篤な病気を患い「死と直面」することにより、

「意識の変容(実存的変容)」を起こすため、と説明している。

もうひとつの名経営者を生む要因が、幼少期の「無条件の受容」だが、

こちらは「バーストラウマ」を軽減し、やはり「意識の変容」につながる。

 

 天外塾では、重病にもならず、「無条件の受容」も体験していない、

ごく普通の経営者を「意識の変容」に導き、名経営者に変身する

お手伝いをしている。

そのために、卒業生を対象に「インナーチャイルドワーク」、

 

 親子の葛藤を解消するワーク」、「死の瞑想」を含む「運力向上セミナー」など、深い瞑想を通じて人間の土台を再構築するワーク(それぞれ3ヶ月)

を開催している。

 

 横田英毅経営学の詳細は、拙著『教えないから人が育つ―横田英毅の

リーダー学』(講談社―「人間性経営学」シリーズ⑤)にまとめた。

 

 

6 山田昭男氏との出会い

 

 

 未来工業の創業者、

山田昭男さんもとてもユニークな経営で知られている。

「ホーレンソウはいらん、ポパイにでも食わせておけ」というせりふは有名だ。

 

 一般には、とても大切とされ、実行を強要されている「報告・連絡・相談」を、一切禁止いているのだ。

 

 

 天外塾では2011年からは講師としてお招きし、

3講の「山田昭男特別セミナー」を3年間開講した。

2011年の最初のセミナーには、横田英毅さんが参加された。

 

 横田さんは、未来工業には3回訪問し、それとは別に

山田さんを高知にお招きして3回講演会を主催されたのだが、

いまひとつ理解できない、ということで参加されたのだ。

 

 横田さんの疑問は、「ホーレンソウや指示・命令を禁止して

おられるけど、組織の中のコミュニケーションを円滑化するためには、

その10倍の努力が必要だと思うのだが、何をやっておられるかが

見えてこない」ということだった。

 

 それに対する山田さんの答は、「何でコミュニケーションなんているの」

だった。一番情報を持っているのは現場だから、気づいたらさっさと実行

すればいい、駄目だったらさっさと止めればいい。コミュニケーションなどと

いっているから実行が遅くなる、というのだ。

 

 元気が良かった頃のソニーでも、「本当に面白い商品を思いついたら、

上司に内緒で物を作れ」、「失敗したら闇から闇に葬れ」などと、

現場の暴走を奨励する格言が横行しており、山田昭男経営学との

共通点が見られた。

 

 しかしながら、山田さんがコミュニケーションをおろそかにしている、

ということはない。

たしかに、ホーレンソウや指示・命令などの公式なコミュニケーションは

否定しておられるが、非公式なコミュニケーションをとても大切にしておられるのだ。

それを山田さんは「スパイを放っているからね、情報はすべて上がって来るんだよ」

といっておられる。

日ごろから人間関係を大切にしている、ということだろう。

 

 だから、横田さんの質問に対するまともな回答は「はい、その通りです。

公式なコミュニケーションがないのを補うため、非公式なコミュニケーションを重視しております」だろう。

 

 それを「コミュニケーションなんかいらないよ!」と言い放ってしまうところが、

山田さんのユニークさだ。

私はそれを「山田劇場の演出」と呼んでいる。演劇出身のため、

語りが芸の域に達しており、随所に「受け」を狙った演出があるのだ。

 

 いま、『山田昭男のリーダー学』という本を執筆中だが、芸の衣を剥ぎ、

著書や講演では語られない「山田昭男経営学」の真髄に迫っていく。

 

 

7.人間性経営学

 

 企業経営は約100年前に、F.W.テイラーが

製造に科学的工程管理を導入して以来、一貫して合理性を追求してきた。

その方向性を「合理主義経営学」と呼んでいる。

しかしながら、企業の進化は合理性の追及だけが動因ではなかった。

 

 かつては「女工哀史」や「蟹工船」に象徴されるような、従業員に

過酷な経営が多かったが、いまではすべてのステイクホルダーの利益を

あまねく配慮した経営が常識になっている。

また、足尾鉱山事件や水俣病に代表される公害企業はなくなり、

社会貢献や地球環境に配慮した「よき市民」としての企業像が定着した。

 

 これらの理念的、精神的、倫理的な進化の原動力は、

社会に偏在する「人間性の追求」だ。

過去100年の企業経営の進化は、「合理性の追求」と「人間性の追求」の

激しい葛藤の歴史だ。

 

「フロー経営」というユニークな方法論は、合理性を追求するより

むしろ徹底的に人間性を追及した方が従業員のやる気を喚起し、

かえって経営効率が上がる、という発見がベースになっている。

つまり過去100年の葛藤の歴史に終止符を打ち、「合理主義経営学」が

役割を終え、今後は企業経営の進化のベースが「人間性の追求」に一本化

されるだろう。

 

その趣旨の元に「人間性経営学」シリーズを刊行中だ(いずれも講談社)。

①『マネジメント革命』200610

②『非常識経営の夜明け』200810

③『経営者の運力』20109

④『人材は「不良社員」からさがせ』201110

⑤『教えないから人が育つ―横田英毅のリーダー学』20134

 

 

むすび

 

ソニーの凋落を契機に、「フロー経営」という新しい潮流に気づき、

「人間性経営学」として体系化しつつある。

幸な事に、この方向性は儒教や老荘思想をベースとした

日本の企業経営文化との相性がすこぶる良い。

今後とも研鑽を深め、日本の産業界活性化に貢献していきたい。

(このメルマガは、20139月の船井総研のメルマガのために

書き下ろした文章を基に、加筆修正しました)

 

 

以上

 

 

天外伺朗

(どうぞご自由に転送、引用して下さい)

引用。。。させていただきました。

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